ホアキン・フェニックス×マイク・ミルズ監督×制作A24
「C'MON C'MON」
観る前からオシャレな香りが漂ってくるような作品でしたが…やっぱりオシャレ映画でした。とにかくモノクロの映像が美しかったです。
モノクロにしたのは男と少年の話を寓話的に、より映画的にしたかったからだとか。
ホアキン・フェニックス演じる独身の男ジョニーと9歳の甥っ子ジェシーが、アメリカの都市をめぐる旅。2人の会話劇中心のとてもシンプルな物語です。
引きで上空から撮られた街の景観が美しく、区画整理されて碁盤の目にレゴブロックが並んでいるような街並みは日本ではあまり見られないので、どうしても憧れてしまうし、枝葉が入り組んで生い茂る植物はアート作品のようで印象に残りました。
肩の力を抜いて、ゆったりした気持ちで鑑賞できるヒューマンドラマです。
<作品情報>
監督 脚本:マイク・ミルズ
キャスト
ジョニー/ホアキン・フェニックス
ジェシー/ウディ・ノーマン
ヴィヴ/ギャビー・ホフマン
ロクサーン/モリー・ウェブスター
<あらすじ>
NYでラジオジャーナリストとして働くジョニーは、子供たちにインタビューをするためアメリカ各地を巡る。その最中、妹の9歳の息子ジェシーを預ることになった。久しぶりに再会し共同生活をすることになった2人の関係性はぎこちなく、変わり者の甥っ子に振り回されながらも、次第に打ち解けて親友の様な信頼が生まれていく…
<ネタバレ感想>
ヴィム・ヴェンダース監督の「都会のアリス」(1973)にインスパイアされた作品とのことで…映像的には素晴らしいのですが、睡魔に襲われてしまった経験が(笑)
じゃあ本作も?
それが全然退屈じゃなくて予想してたよりずっと良かったんです。
ホアキン・フェニックスがアメリカ各地で子供たちにインタビューするんです「未来はどうなると思う?」「大人は何が出来ると思う?」とか色々な質問をぶつけるんですが、めちゃくちゃしっかりしたいい答えが返ってくるんですよ。
このドキュメンタリーと連動するように、叔父さんジョニーと甥っ子ジェシーも対話しながら少しずつ距離が近づいて対等な関係性を築いていく感じがとても微笑ましくて。
甥っ子は注意しても聞かないし、何ならしつこく同じ事繰り返してわざと怒らすような事してかまってちゃんになるから、ちょっとイラっとするくらいです。
甥っ子役のウディ君。とってもナチュラルな演技というか素に見えますよね?
でも、実はイギリス人でセリフをアメリカ訛りに直して演技してるそうです。プロフェッショナルなので、騙されちゃいけませんよ!(笑)
柔らかそうな天パが子犬みたいでかわいいですよね。
これといって事件は何も起きないのに、凄く切なく感じるのがラストシーンでした。
預かってるだけだからお別れの日がやって来るんですが、甥っ子ジェシーはあっさりと「じゃっ!」みたいに去って行くんです。
この数日一緒に過ごしたことも、成長と共に忘れちゃうんだろうなって感じるジョニー叔父さんの切なさ。
哀愁漂うホアキン・フェニックスの背中…感動を誘う涙のお別れよりむしろ残酷で心に残りました。
9歳という年齢に設定したのは、「都会のアリス」に出てくる少女と同い年にしたかったのと、そろそろ子供というフェーズも終わる年頃だからだそうです。
子供時代を終えようとしている甥っ子ジェシー君の未来への言葉が印象に残る。
「起きると思う事は、絶対起きない。考えもしない様な事が起きる。だから先へ進むしかない。どんどん先へ。」
子供たちが明るい未来を描ける世の中になるといいのにな。
マイク・ミルズ監督は元デザイナーなのだそうです。なるほど映像や音楽のセンスが良いです!
「20センチュリー・ウーマン」(2016)が大好きな作品です。本作とは対照的にポップな色使いの映像で、監督の母親をモデルにした作品ですが、20世紀を生き抜いたまさに強くてカッコイイ女性をアネット・ベニングが魅力的に演じています。
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