ウェス・アンダーソン監督の最新作「アステロイド・シティ」を鑑賞してきました!
やはりスクリーンで観るウェス・ワールドは最高。眼福でした!
ただ、その一方でストーリーの難解さが際立つ作品でもありました。
監督のやりたい事を詰め込んだ結果、監督以外に理解できる人は居ないのでは?と思う部分も多く、それぞれのエピソードが点のままで存在することとなり、個人的には物語を紡いでいるように思えませんでした。
それでも、私は楽しんでいた方だと思います。大半の方は夢の中だったので…
「寝たけど面白かった!」という謎の感想も多かったですが、起きて観ていても理解できないのなら同じでしょうね(笑)
その上、早口でまくし立てるセリフ回しも多いので(それは本作にかぎらず)字幕を追う人間の身になってくれ!と言いたいです。笑
早々に愚痴っぽくなってしまいましたが、自分なりの正直な感想と観るべきポイントを書いていきたいと思います。
- <作品情報>
- <あらすじ>
- <アステロイド・シティのモデルはロスアラモス>
- <ロズウェル事件と宇宙人>
- <宇宙人襲来とコロナ>
- <モノクロパートはこの際無視しよう!>
- <見どころは徹底的に作りこまれた映像美!>
- <最後に!>
<作品情報>
「アステロイド・シティ」
2023年/アメリカ/SF・コメディ/105分
監督:ウェス・アンダーソン
キャスト
戦場カメラマン役オーギー/ジェイソン・シュワルツマン
女優役ミッジ/スカーレット・ヨハンソン
オーギーの義理の父役スタンリー/トム・ハンクス
ヒッケンルーパー博士役/ティルダ・スウィントン
劇作家コンラッド/エドワード・ノートン
整備工役/マット・ディロン
宇宙人役/ジェフ・ゴールドブラム
教師ジューン役/マヤ・ホーク
<あらすじ>
1955年アメリカ。隕石が落下したクレーターがトレードマークとなる砂漠の街「アステロイド・シティ」でジュニア宇宙科学大会が開かれ、5人の優秀な子供とその家族がこの街に招かれた。
大会の最中、突然宇宙人が現われ人々は困惑、アステロイド・シティは封鎖され、人々は隔離生活を余儀なくされる…という物語の劇中劇が描かれます。
<アステロイド・シティのモデルはロスアラモス>
ロスアラモスはニューメキシコ州北部の街で、核実験場があり、大戦中は外界との接触も禁じられていたと言う。
アステロイド・シティでも冒頭、アボカドやグレープフルーツと一緒に核ミサイルを積んだ列車が街を走るシーンが印象的で、時折、核実験によるきのこ雲が上がるシーンもありました。
当時はラスベガスからの”きのこ雲見学ツアー”なんかもあったそうですよ。
政府が天才の子供達を、核開発の科学者として利用しようとしている?そんな思惑も感じられます。
<ロズウェル事件と宇宙人>
1947年。米軍によってUFOが回収されたという、今だ謎多きとってもミステリーな事件。
アステロイド・シティには、宇宙船に乗った宇宙人がひょっこり現れるシーンがあり、可愛らしい宇宙人の造形も良く、ここが作品一番の盛り上がりを見せ、笑っている観客も多かったです。
Tシャツのイラストにもなっていますね!公開前からめっちゃ露出過多!笑
公式ホームページのあらすじにも記載されていて、宇宙人突然の襲来は楽しかったのですが、知らなければもっと面白かったんだろうな?という思いもあります。
(あっ、この記事で知ってしまった方はゴメンなさい)
<宇宙人襲来とコロナ>
宇宙人の襲来により街から出られなくなってしまった人々。やはり、今を生きる私たちが真っ先に連想するのは、コロナ禍で一変した生活です。
妻の突然の死を受け入れられなかったオーギーが、子供達にやっとの思いで告知するシーンでは、コロナウイルスの蔓延によって突然失われた命を思わずにはいられませんでした。
そして、窓辺越しの会話を重ねるオーギーとミッジの微妙な距離感。
男女の距離感の詰め方としてはウェス・アンダーソン監督らしいシュールな描き方ですが、お互いを理解し合うのにはむしろ必要な距離感なんじゃないか?とさえ思わされました。
お互いに色々な経験を重ねて来たであろう大人の、互いを思いやりまったりと流れる上質な時を感じました。
<モノクロパートはこの際無視しよう!>
舞台劇のパート(シネマコープサイズのカラー映像)
舞台裏のパート(スタンダードサイズのモノクロ映像)
この2つのパートを行ったり来たりする入れ子構造となっている点が物語をより難解なものにしています。もちろん舞台の表と裏の話なので関連性は無しではないのですが、ほぼ分かりませんでした(笑)
モノクロパートは実在した劇作家テネシー・ウィリアムズをモデルにした、劇作家コンラッド(エドワード・ノートン)の話がメインになっていました。
きっと、何度か観れば繋がってくるのかもしれませんが…現段階ではこのモノクロパートの必要性が感じられませんでした。
それよりも、話のメインとなるカラーパートをしっかり追えていればおのずとマーゴット・ロビーが舞台裏でひょっこり顔を出した意味に気付けるはずです。
(出演はワンシーンだけですが、重要な役所でした!)
<見どころは徹底的に作りこまれた映像美!>
この作品の中に既製品は存在しているのでしょうか?笑
それはウェス・アンダーソン監督の作品全般に言えることですが、小物ひとつに至るまでこだわりのデザインで作りこまれた世界観は、唯一無二。
色調も砂漠と青空とポップな色使いのコントラストが見事でしたが、これを再現する為に青空が綺麗だと言われるスペインの地にセットを組むこだわりようです。
そして、50年代のアメリカといえば、ダイナーですよね!
個人的にもかなり憧れが強く、映画にダイナーのシーンが出てくるとそれだけでテンションが上がってしまいます。
本作に出てくるダイナーは古き良き時代のオールドタイプのデザインを踏襲しつつ、限りなくオリジナルなダイナーに仕上がっていて素敵でした!
そこで食事をとる、マリリン・モンロールックのスカーレット・ヨハンソンなんて絵になり過ぎですね(笑)
女優役の女優を演じる女優のスカヨハさん(笑)
難しい役を見事に演じていて、とてもセクシーで素敵な歳の重ね方をされているなと思いました。
<最後に!>
ウェス・アンダーソン監督作品の中でも特に難解だとの意見の多い「アステロイド・シティ」なので、鑑賞前の予備知識として入れておくと理解力がアップしそうな項目をまとめてみました!
抜群の画ヂカラを持った作品ですし、豪華キャストが楽しんで演技している様子も微笑ましいものがありますので是非一度ご覧になってください!
最後までご覧頂きありがとうございました!