ウォンカチョコレートの秘密を描いた作品、ティム・バートン監督の「チャーリーとチョコレート工場」が人気ですが、この作品とほぼ同じ内容のオリジナルの作品がありそれが1971年「夢のチョコレート工場」です。
50年前の古い作品ですが、今観ても色褪せるどころか、現代では作れない作品独特の味わいがあり魅力的です!
個人的にはオリジナル版のほうが好きなくらいです。
そして、23年12月公開のティモシー・シャラメ主演の「Wanka チョコレート工場のはじまり」はオリジナル版の全日譚である事が公表されていますので、予習も兼ねて是非この機会に観て頂きたいオススメの作品です!
- <作品情報>
- <あらすじ>
- 「オズの魔法使」オマージュのミュージカル作品
- <ティム・バートン版との一番大きな違い>
- <次々と脱落していく子供たち>
- <一生溶けないキャンディ>
- <試されるチャーリー>
- <夢のワンカべーター>
- <最後に>
<作品情報>
Willy Wonka & the Chocolate Factory
1971年/アメリカ/100分/日本劇場未公開
原作児童小説:「チョコレート工場の秘密」ロアルド・ダール著
監督:メル・スチュアート
キャスト
ウォンカ/ジーン・ワイルダー
チャーリー/ピーター・オストラム
バイオレット/デニス・ニッカーソン
マイク/パリス・テメン
オーガスタス/マイケル・ボルナー
べルーカ/ジュリー・ドン・コール
ジョーおじいさん/ジャック・アルバートソン
<あらすじ>
菓子店に群がる子供達のいちばん人気ワンカ・チョコレート。菓子店の外から、その様子を恨めしそうに眺める少年チャーリー。母と4人の祖父母と肩を寄せ合い、チャーリーは新聞配達で家計を助け、貧しい生活ながら暖かな家族です。
ある日、ワンカチョコレートに5枚限定で”金の券”が入れられ、当たった者はチョコレート工場へ招待されるというニュースが流れました。
ワンカは同業者のスパイを恐れて工場を閉鎖したのですが、3年前に再びワンカチョコレートの販売を開始していました。しかし、工場の門は依然固く閉ざされたままで、謎の多いチョコレート工場です。
そんな秘密の工場を見学できるとあって、チョコレートは飛ぶように売れ、金の券をめぐって激しい争奪戦が始まりました。
ひとりまたひとりと金の券が当たった子供たちのニュースが飛び込んでくる中、チャーリーが買えたチョコレートはたったの2枚。自分にチャンスがめぐってくることはないとあきらめかけたチャーリーでしたが、道端に落ちていたコインを発見し菓子店で買ったワンカチョコレートには5枚目となる最後の金の券が入っていました!
そして、チャーリーとジョーおじいちゃんの夢のチョコレート工場への冒険がはじまります。
「オズの魔法使」オマージュのミュージカル作品
本作よりずっと昔の作品ですが、そっくりな部分が多いですし、今観ても楽しめる映画史に残る大傑作ファンタジーミュージカルです。
夢の様にポップでカラフルな色使い、時々挟み込まれるセリフに代わる歌声、そして何と言ってもそっくりなのが、オズでは”マンチキン”、本作では”ウンパルンパ”と呼ばれる小人たちです。それに加え、発明好きなオズの魔法使のキャラクターとワンカのキャラクターもそっくり!
まさにオズで描かれた夢の世界が、そっくりそのままチョコレート工場に入ってしまった世界観はタイトル通り「夢のチョコレート工場」です。
最近の映画ですと「Pearl パール」にも沢山の「オズの魔法使」のオマージュを見つける事が出来ます!
いよいよホラー映画の世界にまで入り込んでしまったオズです!
「オズの魔法使」も「夢のチョコレート工場」もU-NEXTで配信中!(23年9月現在)
<ティム・バートン版との一番大きな違い>
ワンカの過去や生い立ちが一切描かれていないところが「チャーリーとチョコレート工場」のウォンカと大きく違うところです。(字幕表記がまず違います。笑)
ティム・バートン版はウォンカの子供の頃の話や、初めてチョコレートを食べた時の話。ウォンカの父親も登場しているなど、既にチョコレート工場のはじまりとも言える部分が描かれています。
なので物語の前日譚を作るにあたっては、オリジナルの本作の方が好都合だったのかもしれません。
※ここからはネタバレが含まれますので、未鑑賞の方はご注意下さい!
<次々と脱落していく子供たち>
ワンカの目的は自分の後継者となる正直で心優しい子供を探すこと。
工場を見学する中で、手を触れてはいけないと注意されているにも関わらず、好奇心旺盛な子供たちは暴走してしまい脱落してしまいます。
オーガスタス→食いしん坊の彼はチョコレートが流れる小川を見つけるや否や、素手で流れるチョコレートを食べはじめ、前のめりになり川に転落してしまい脱落。
バイオレット→年中ガムを噛んでいる彼女は、まだ試作段階のフルコースが味わえるガムを食べてしまいます。トマトスープから始まり次々味が変化していく不思議なガムの味がデザートのブルーベリーパイに差し掛かると、彼女の顔色が青くなり膨らみはじめブルーベリーのようになってしまいジュース室送りとなり脱落。
チャーリー→ジョーおじいちゃんと一緒にふわふわドリンクを飲んで体がどんどん宙に浮かんでいきます。楽しく空中遊泳していた2人ですが天井で回るファンに巻き込まれそうになるピンチを迎えます。おじいちゃんはゲップをすると体が沈むことを発見し2人はゲップを繰り返しながら無事に地面に降りることができました。
ワンカはこれに気付かなかったのか、2人はしれっと見学の輪の中に戻ります。
べルーカ→何でも欲しがる我儘な彼女は、金の卵を産むガチョウを欲しがり駄々をこね暴れます。良い卵と悪い卵を選別するタマゴ・ワケールの乗った彼女は悪い卵と判別されそのままシューターでゴミ箱行きとなり脱落。
マイク→ワンカ・ビジョンという瞬間移動でテレビ画面の中に入れる革命的な機械。テレビっ子のマイクはこれでTVスターになれると大喜びでしたが、体が画面サイズの小人になってしまいました。体をタフィー作りの機械で伸ばす事となり脱落。
チャーリーも注意を聞かず、ふわふわドリンクに手を出してしまっていますが、最初に「飲んでみよう。」と言い出しだのはおじいちゃんです(笑)
実は、この出来事が物語のラストの伏線になっています。
<一生溶けないキャンディ>
一個で一生味わえるというカラフルなこのキャンディこそ、同業者スパイのスラグワースが狙う門外不出のキャンディ。スラグワースは子供たちひとりひとりに高額な報酬と引き換えに情報提供をするよう耳打ちしていました。そのキャンディをワンカは「一生誰にも見せてはいけない。」と5人の子供たちに一個ずつくれました。
このキャンディは誰も口に入れなかったので、どんな味なのか気になるところです。
<試されるチャーリー>
子供たちは見学する前に、細かすぎて読み切れない程の注意事項を書いた誓約書にサインをするように言われサインしています。
最後の一人に残ったチャーリーはご褒美のチョコレートを貰えるはずでしたが、途中でふわふわドリンクをこっそり飲んでいた事をウォンカは気付いていました。
誓約書にはその旨の記載があり規則違反だとして、チャーリーにチョコレートはあげられないと言います。ワンカは詐欺師だと怒ってしまったおじいちゃんは「スラグワースに言いつけてやる!」とガッカリするチャーリーを連れて帰ろうとします。
と、その時チャーリーは一生溶けないキャンディをワンカに返して帰ろうとします。
実はチャーリーを試していたワンカはこの行動に大喜び。正直で心の優しい子供を見つけたのでした!
スパイだと思っていたスラグワースはワンカの部下で、子供たちを試すためだったのです。
<夢のワンカべーター>
ワンカは上下移動だけでなく縦横斜めと自由に移動できるワンカべーターに、チャーリーとおじいちゃんを乗せます。「まだ押していないボタンがあるから押してごらん。」と言うワンカ。チャーリーがそのボタンを押すと、ワンカべーターは工場の屋根を突き破り空高く上空を飛んでいきます。
眼下に広がる街並みに感激するチャーリーに工場を継いで欲しいと言うワンカ。2人は抱き合って喜びます。
<最後に>
とてもシンプルなストーリーですが、チャーリーの夢が叶ったラストシーンには何度観ても涙が出てしまいます。ワンカべーターから見下ろす街並みがとても美しいです。
ワンカは子供たちにも「変な人」と言われる変わり者ですが、まるで子供の様な純粋な心を持った、チョコレート大好き紳士として描かれています。
ウンパルンパの衣装や手漕ぎボートのデザインもとても可愛いくて、子供の頃、誰もが抱いたお菓子への夢や憧れを思い出さずにはいられない…そんな作品です!
是非一度、ご覧になってみて下さい!
最後までご覧頂きありがとうございました!