本当に怖い吸血鬼伝説「ドラキュラ/デルメル号最期の航海」は本当に怖いのか?
観る前からそればかり気になっていました。
”本当に怖い”って冠…あまり信ぴょう性高くないですよね?笑
ブラム・ストーカーによる名作小説「吸血鬼ドラキュラ」から、最も恐ろしいと評される”第7章”を始めて映画化!と聞いては、否が応にも期待が高まってしまいます!
前半はネタバレなし、後半ネタバレありで感想を書いていこうと思います。
- <作品情報>
- <あらすじ>
- <実力派キャストの共演>
- <撮影はほぼ船内のみ>
- <50個の木箱の中身とアナ>
- <ドラキュラの弱点が見どころ!>
- <終盤の展開はあの作品のオマージュ>
- <もし、続編が出来たら…>
<作品情報>
「ドラキュラ/デルメル号最期の航海」
原題:The Last Voyage of the Demeter
2023年/アメリカ/119分/PG12
(ジェーン・ドウの解剖、スケアリーストーリーズ怖い本、など)
キャスト
クレメンス医師/コーリー・ホーキンズ
アナ/アシュリン・フランシオーシ
トビー/ウディ・ノーマン
ヴォイチェク航海士/デビッド・ダストマルチャン
ドラキュラ/ハビエル・ポテット
エリオット船長/リーアム・カニンガム
ジョセフ/ジョン・ジョン・ブリオネス
<あらすじ>
ルーマニアのカルパチア地方からイギリスのロンドンまで、中身の分からない50個の木箱を運ぶためにチャーターされた帆船デルメル号は、航海の途中で毎夜不可解な事件に遭遇する。船長の航海日誌に記された一か月におよぶ無慈悲な存在の対峙の記録をもとに、大海原を渡るデルメル号に一体何が起こったのか?謎に包まれた恐怖の物語が展開する。
<実力派キャストの共演>
ざっとキャストの名前を見ても、誰もが知るような俳優が見当たらないのですが、出演作を聞けば「あーっ、あの人!」となること間違いなしです!
主人公は「イン・ザ・ハイツ」のホリー・コーキング
船長は「シークレット・オブ・モンスター」のリアム・カニンガム
船長の孫トビーは「カモン・カモン」でホアキン・フェニックス相棒の少年だったウディ・ノーマン君!
航海士は「ザ・スーサイド・スクワッド"極”悪党、集結」でポルカドットマンだったデヴィッド・ダストマルチャン…見た目が違い過ぎて、観ても分かりませんでした(笑)
特に、子役のウディ・ノーマン君は今後必ず大物俳優に仲間入りする未来が予想できますので、要チェックです!
そして何と言っても、今作で異彩を放っていたのはドラキュラです!
ドラキュラと言えばこんな感じと想像出来る程、そのキャラクターは固まっていると思います、が、全然違いました。どちらかというとモンスターのような造形で、コウモリ男と呼ぶにふさわしいドラキュラでした。
演じたハビエル・ポテットさんは身長2メートル越えで細長~い手足の持ち主。その体型を生かしCGなしで演じています。
恐らく初めて目にするであろう、大きくて、おぞましいドラキュラここに爆誕です!
そのドラキュラが首の動脈に噛みつくのですから…怖いです!
<撮影はほぼ船内のみ>
冒頭とラスト以外は船内での出来事を描いたワンシチュエーション・スリラーです。そこが強みでもあり、弱みでもある気がします。船内は狭い・暗い・入り組んでいる・逃げ場がないなど、ホラーを描くにはうってつけです。ただ、約2時間の上映時間中、ほぼ船内の出来事だけを描くというのは、ちょっと厳しかったかな?と感じました。
やはり撮影時期がコロナ禍だったという事も影響しているのでしょうか?
本作に限らず、最近公開される作品は、ワンシチュエーションものが多いですよね。
ただ、本作には続編が用意されているのでは?そしてもちろん、船は降りてロンドンを舞台に描かれるのでは…と続編が観たくなるような終わり方でした。(詳細はネタバレ感想で!)
そしたら、もっともっと面白くなるであろう底力を持った作品でした。
従って…怖さレベルは60!(グロさはないが雰囲気が怖い)
食糧である家畜が全滅し異変に気付くといった、不穏な空気の描き方が上手!
ドラキュラとしてはかなり狂暴な部類で容赦なく人を襲います!
ここからはネタバレが含まれますので、未鑑賞の方はご注意下さい!
<50個の木箱の中身とアナ>
これは観る前でも分かりますよね?ドラキュラの住まいだと…(笑)
中には土が入っていて、その中に居たであろうアナという女性が早い段階で発見されました。感染症に犯され、衰弱していたアナを医師であるクレメンスが輸血して助け一命を取り留めます。アナが船に乗せられていた理由は、ドラキュラの食糧としてですし、住んでいた村はドラキュラによって壊滅状態にされたとあって、復讐心満々なのでクレメンスの良い助っ人になってくれました。
ちょっと驚いたのが、ドラキュラが食糧を日割り計算しているので、ひとりずつしか襲わないという意外と几帳面な生態です。
ドラキュラの造形がモンスターすぎるので、人間の血が食糧だと言うことをつい忘れてしまいます(笑)
<ドラキュラの弱点が見どころ!>
本作で描かれるドラキュラは見た目以外にも従来のドラキュラと違う点がございまして…弱点だと思われていた十字架も、全く抗力を発揮することなく、十字架のネックレスを下げたトビー君は、あっさりやられてしまいました。
こうなってくると、苦手とされているニンニクはどうなんだろう?と疑問が湧いてきます(笑)
そして、この作品中一番と見どころだと思えたのは、ドラキュラに襲われたトビー君が息絶えてしまい、船員たちが遺体を海に投げようとするも孫の死を受け入れがたい船長はその遺体にすがりつく。丁度そこへ朝日が差し込み発火したトビー君の遺体が船長に抱きつき共に燃え上がる。美しくも悲しいシーンに涙がこぼれました。
ドラキュラは日光に弱く、夜にしか活動できないという生態は従来通りだったのですが、日光をあびると人体自然発火して燃え上がる描写が斬新で素晴らしかったです。
<終盤の展開はあの作品のオマージュ>
船映画といえば有名なのは「タイタニック」ですが、クレメンスとアナの2人が木片にしがみついて海に漂流し、体力も限界に近づくというシーンはオマージュでしょう。
その後、ドラキュラに噛まれていたアナも朝日を浴びて燃えてしまいました。
クレメンスの体からは炎が上がらなかった所をみると、血は汚染されていなかったのでしょうけれど、傷を負っていた様だったのですが…
そして、冒頭で描かれていた通り、デルメル号は生存者ゼロで岸に流れ着いたのですが、クレメンスは海を漂流し、ただひとりひっそりと生き永らえていました。
そしてラストシーン。ロンドンに姿を現したクレメンスが木箱の送り先であるカーファックスの屋敷を探していたり、何者かの影に怯える様子が描かれ、一瞬チラッと映し出されたのは、マントを羽織り杖をついたドラキュラ伯爵の姿でした!
こんな思わせぶりなラストシーン…続編を期待してしまいます!
<もし、続編が出来たら…>
本作は地味ながら、丁寧に作られたゴシックホラーの良作ですが、2時間ずっと船上というのは少々厳しかったと思われます。それが悔やまれるというのが正直な感想です。
なので、もし続編の制作が決まったら、ロンドンの街を舞台にのびのびとですね、家畜、犬、子供にまで容赦しないその狂暴さを発揮してもらいたいと願っています。
これで終わってしまったら、ちょっと勿体ないくらい素敵なドラキュラさんでした!
最後までご覧頂きありがとうございました!