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映画「アイスクリームフィーバー」映画の概念壊してる?

こう毎日暑いとアイスクリームが食べたくなりますね。でも冬に食べるアイスもまた美味しいんですよね!世界中の人を虜にする魅惑の食べ物です。

アイスクリーム屋さんに行くと、沢山の種類があってついつい迷ってしまいます。

そんな時「これはどんな味ですか?」って聞くと「薄いバニラみたいな…」と吉岡里帆さんが優しく教えてくれる、渋谷ミリオンアイスクリームというお店を舞台にした「アイスクリームフィーバー」という映画を観てきましたよ!

スクリーンから甘~い香りが漂ってくるような女優さん達の美しさにうっとり…

したのは間違いないのですが、映像や音楽の使い方など、かなり斬新な映画?だったのでそこら辺をお伝え出来たらと思います!

「アイスクリームフィーバー」公式Twitterより

 

<作品情報>

「アイスクリームフィーバー」

2023年/日本/103分/G

監督:千原徹也

原案:川上未央子

脚本:清水匡

キャスト

常田菜摘/吉岡里穂

橋本佐保/モトーラ世理奈

桑島貴子/詩羽

高嶋優/松本まりか

高嶋愛/安達祐嶋

高嶋美和/南琴奈

古川イズミ/後藤淳平ジャルジャル

 

<あらすじ>

異なる時間軸での2つのストーリーが交互に描かれていきます。

美大卒でデザイン会社に勤めていた菜摘は、仕事で上手くやって行けず退職し、渋谷のアイスクリームショップでアルバイトをはじめる。ある日、客として店にやって来た佐保が気になり走って後を追いかけてしまい、それから度々話をするようになる。そんな時、菜摘は本屋で表紙に橋本佐保著と書かれた小説を偶然見つけてしまう…

●銭湯とアイスクリームをこよなく愛すキャリアウーマン高嶋優。ある日突然やって来た姪っ子の美和に、数年前に居なくなった父親を探したいと言われ困惑する。インスタグラムで見つけた父親の投稿が渋谷近辺なので、絶対この辺りに居るはずだと言う美和だったが、優は複雑な心境を抱えていた…

 

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<ネタバレなしの感想>

まるで、ダブルのアイスクリームのように、ふたつがひとつに溶け合うようなストーリーにしたかったそうです。

ふたつのストーリーは全然別の話なんですが、一部分溶けて混ざり合うような感覚は確かにありましたね!

 

まず、びっくりしたのがこれは映画ではない。」って字幕が出て始まったことですね。

「はぁ?」って、言葉そのまま受け取ったら、じゃあ何見せられるの?って(笑)

これは監督が作った映画製作会社のコピーで「枠や概念にこだわらず映画作りをしよう。」という意味らしいです。社訓みたいな感じですかね。

 

作品はこの言葉通りで、枠からはみ出ちゃってました。それを良いと思うか、受け付けないかで評価が分かれてしまう作品だと思います。

 

画角がスタンダードサイズ(正方形)、所々ですが酔いそうな程の手ブレ撮影、回顧シーンはモノクロ、2分割された画面、静止画…と思いつく限りの映像表現入れ込んできた感じです。

そこへ来て、凄い爆音が入ってクラブみたいになったり、音楽はとても良いのですが使い方のクセが強い(笑)

会話の沈黙を音で埋めていたりするので、会話の"間"が大切なのにそんなことして台無しじゃないか!と思う方も居るかもしれません。私も実際うるさいと思ったシーンもありました。ただ、そう思った時点で印象に残る作品になることは間違いないです。

良くも悪くも斬新でインパクトを残す、今まで観たことが無い作品です。

やや実験的な映画とも言えるかもしれません。

 

そんなインパクトある映像や音のせいか、何気ない会話や何気ないやり取りが、めちゃくちゃドラマチックに感じられるんです。

それが本作を観て、私が一番強く感じたことでした。

その積み重ねで、吉澤嘉代子さんの「氷菓子」がかかるシーンを迎えると、もう感情の高ぶりを抑えることが出来ず涙がこぼれました。

 

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そしてこの作品でとてつもない存在感を放っていたのが、モトーラ世理奈さんですね。

初めてアイスクリーム店に入って来た時に、吉岡里帆さんが一瞬で恋に落ちる感じ(ここも可愛かった)は映画館でリアルに私も体感?共感?しちゃいました。すごいオーラを放っていました。

中性的ともまた違うんですが、女性でも惹かれてしまうような独特の魅力がありますよね。

映画「青い春」に出ていた時の松田龍平さんを思わせる、クールなんだけど、今にも壊れてしまいそうな儚さもあって、目つきもそっくりだと思いました。

 

現在47歳の千原監督は90年代のカルチャーに影響を受けてきたようで、作品からもそれは感じられます。

意識したのはタランティーノ監督の「パルプフィクション」なのだそう。

個人的には、ウォンカーウァイ監督岩井俊二監督作品の影響も感じました。

映画「恋する惑星主演のフェイ・ウォンが歌う「夢中人」がめちゃくちゃいいです。恋の初期衝動を描いている所が本作と似ています。

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「アイスクリームフィーバー」は音楽映画なので、いい音響の大きなスクリーンで観ると心も大きく動いて感動もひとしおだと思いますので、間に合いそうな方は是非劇場でご覧ください!

鑑賞後の気分がめちゃくちゃ良かったです!スキップしながらアイス食べたくなるような気分になれます。

無理そうな方もまた後々、鑑賞してみて下さいね!

 

最後までご覧頂きありがとうございました!