映画は読み物。

読むほどに映画が好きになる。

映画「テイク・ディス・ワルツ」満たされること無き人生を踊ろう

本作主演のミシェル・ウィリアムズが好きで、彼女の出演作は大体チェックしています。中でも2010年「ブルー・バレンタイン」が大好きな作品なのですが、結婚生活の大変さがリアルに描かれていて観ていて辛いと思われた方も多いはず⁈

その翌年に制作されたテイク・ディス・ワルツでまたしても、結婚生活に苦悩する女性を演じています。

そしてそして、2022年に制作されたスピルバーグ監督の自伝映画「フェイブルマンズ」でも…まだ観ていない方の為にここらへんで一旦黙りますね(笑)

こちらでは「テイク・ディス・ワルツを紹介していきたいと思います!

ブロードメディアスタジオ

 

<作品情報>

テイク・ディス・ワルツ

2012年/カナダ/116分

監督 脚本:サラ・ポーリー

キャスト

マーゴ/ミシェル・ウィリアムズ

ルー/セス・ローゲン

ダニエル/ルーク・カービー

ジェラルディン/サラ・シルヴァーマン

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<あらすじ>

フリーライターのマーゴ(ミシェル・ウィリアムズ)とチキンのレシピ本を書いているルー(セス・ローゲン)は結婚5年目の夫婦。昔の様な激しい恋愛感情こそ消えていたが、独特の愛情表現をしながら仲良く暮らしていた。しかし、マーゴにはどこか満たされない思いがあった。

マーゴは取材先でダニエルという青年と出会い、帰りの飛行機、タクシーと一緒になったが、最近越してきたという家は偶然にもマーゴの家の向かいだった。

夫とは正反対のタイプのダニエルに運命を感じたマーゴは急速に惹かれていく。

 

 

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テイク・ディス・ワルツ」は宅配レンタルがオススメです!

※ここからはネタバレが含まれますので未鑑賞の方はご注意下さい。

 

<ネタバレ感想>

セス・ローゲン演じるルーは優しくてユーモアがあって、クマみたいなぽっちゃり体形にも安らぎを感じますし、理想的な旦那さんに見えます。

ミシェル・ウィリアムズ演じるマーゴと一緒にふざけてる姿は仲睦まじい夫婦でとってもお似合いの2人と言った感じです。おしどり夫婦ってやつです。

でも、結局マーゴは情熱的な眼差しで自分を見てくれるダニエルの方へ行ってしまいました。

ルー可哀そう…とか、こんないい旦那のどこが不満なんだ!と腹立たしく思われた方も多いと思いますが、私はマーゴ擁護派です(笑)

それは何故かと言うと、結婚記念日にレストランで食事をしてて無言になっちゃった時の「なんか聞いて。」「もう何でも知ってるから聞くこと無い。」ってやり取りに全てが現われていたというか…30年連れ添った夫婦の会話ならまだ分かりますよ(笑)

マーゴはまだ28歳ですよ?見通し暗くないですか?

知ってるというのは都合の良い言い方で、つまりは知る気が無いってことですよね?

相手を知ろうとする努力って、長く関係を続けていく上で一番大切なことなんじゃないかと、思います。

 

でも、かつてはルーもダニエルと同じような情熱的な眼差しでマーゴを見ていたことでしょう。

それが分かるのは、一緒に暮らし始めたダニエルの目から、かつてのギラついた光は消えていました。そして、ルーから注がれていた様な、我が子を愛おしく見つめるような暖かな視線すら感じられなかったですね。

だから、ルーの元へ戻りたくなってしまったのかもしれません…それは流石に無理ですよね。

「人生なんてどこか物足りないものよ。」

アルコール依存症に苦しむルーの姉がマーゴに言った、作品の中で最も印象に残る言葉です。

私の場合は、それを埋めるために毎日映画を観ているのかもしれません。

 

話自体はめちゃくちゃ現実的なのですが、映像は美しく幻想的です。メリーゴーランドの様な回転系のアトラクションに、ダニエルとマーゴが一緒に乗っているシーンが印象的でした。まさに恋した時の高揚感がバッチリ描かれていたように思います。

 

open.spotify.com

 

その時のBGMがニュー・ウェーブ・グループ、バグルスの1980年「ビデオスターの悲劇」です。歌詞とかは全然本作とは関係ないと思うんですけど(笑)この曲がとても合っていて、80年代設定の映画に使われることも多い曲です。当時、相当ヒットしたのでしょうか?

 

そして、このラストには、かつてダニエルとラブラブ状態で乗っていたこのアトラクションに、マーゴ独りで乗るシーンがありました。さぞや寂しい気持ちで、しゅんとしてライドオンしているのだろうと思いきや、めちゃくちゃ楽しそうな姿!

同じく「ラジオスターの悲劇」が流れる中、その顔は解放感に満ちあふれているように見えました。

open.spotify.com

もちろん、タイトルにもなっているこの曲も素敵ですよ!

 

結局この作品で私が感じたことは、自分の満たされない思いを相手のせいにしてはいけない。ということでしょうか。

ラストシーンのマーゴは何か悟りを開いたように見えました(笑)

もし誰かと一緒に居て幸せだと思えないなら、ひとりで居るという選択もありですし、我慢してでもひとりは嫌だと言う人もいると思います。

どちらが正解・不正解という事は全然ないけれど、自分に正直に心の声を聞いてみることは大切なんじゃないかと。

あるブログでこの作品の感想を読んだ時に「マーゴは割り切って性処理だけして、旦那のところへ帰ればよかったんだ。」って…それができれば苦労しないよっ(笑)

 

実は、2022年「フェイブルマンズ」でもミシェル・ウィリアムズセス・ローゲンは再び共演しています!この2人ってお似合いなのかもしれませんね⁈

合わせてご覧頂くと、とーっても面白いので超オススメです。

 

eigawayomimono.com

 

 

 

最後までご覧頂きありがとうございました!

 

ムエタイアクション映画「マッハ!!!!!!!!」トニー・ジャーを知るならこのデビュー作!

突然ですが「エクスペンダブルズ」はお好きですか?

「大好きー!!!」ってね

妄想コールアンドレスポンスで…こんな夢のような筋肉の祭典好きにきまってるじゃん。うんうん、聞くまでもなかったですね~(笑)

シリーズ4作目「エクスペンダブルズ4」に新しく加入する事が決定した、トニー・ジャーという俳優さんがどんな方かご存じでしょうか?

2019年「モンスターハンターなどハリウッド映画にも出演されているので、それで知った方も多いと思いますが、ムエタイアクション俳優としてのトニー・ジャーの凄さはよく分からなかったのでは?と思います。

これさえ観ていたらトニー・ジャーの凄さが分かる!

純度100%のムエタイアクションが強烈なデビュー作「マッハ!!!!!!!!」を紹介したいと思います。

※この記事では、致命的なネタバレは避けておりますので、未鑑賞の方にもお読みいただけます。

Sahamongkol Film International Co. Ltd.

<作品情報>

マッハ!!!!!!!!

2003年/タイ/108分

英題:Ong Bak:Muay Thai Warrior

監督:プラッチャヤ-・ピンゲーオ

脚本:スパチャイ・シティアンポーンパン

キャスト

ティン:トニー・ジャー

ジョージ(ハム・レイ):ペットターイ・ウォンカムラオ

ムエ:プマワーリー・ヨートカモン

 

トニー・ジャーの経歴>

生年月日:1976年2月5日生まれ(47歳)

出身地:タイ 東北・スリン県

身長:172㎝

15歳からスタントを学び、その後香港へ渡りスタントの修行。体育短期大学でムエタイ、剣術、テコンドー、器械体操などを習得している。

 

<あらすじ>

タイの田舎町イーサン地方。ある日、守り神「オンバク」と呼ばれる仏像の首が盗まれてしまう。ムエタイを習得した青年ティンは、仏像を取り戻すため村を代表してバンコクへ向かう。

バンコクに住む、この村出身の青年ハム・レイの元を訪ねたティンだったが、ジョージと名乗っていて、同郷だと認めない。金に困っていたジョージは、ティンを金銭を賭ける地下格闘技に出場させていたが、ティンと共に悪党と戦い、オンバクの有りかを探して居るうちに、村や家族の事を思うようになっていく…

 

youtu.be

 

この予告編なんですけど、面白く作りすぎじゃないですかね?

ムエタイの型にはめて「ワイヤーは使いませんっ!」「CGは使いませんっ!」とか絶対言ってないでしょ?(笑)

でも、この5か条がこの映画の全てと言っても過言ではないくらい“ガチ”で“生”なアクション映画です。

この作品を観たほとんどの方がトニー・ジャーの身体能力凄くない?」「ムエタイって最強だわ!」って言っちゃうと思います。

タイの市場でチンピラに追いかけられて、パルクールみたいに走りながら障害物を避けて逃げるシーンで、前宙2回転したんですよ。もう体操選手じゃん!と思ったら、器械体操も習得されているとか…相当な鍛錬を積んでなきゃ出来ないっていうのが素人目にもハッキリ分かるアクションの数々には驚愕です。

「早回しはしませんっ!」って早回し所か、繰り返しスロー再生されるんですけど(笑)カメラの撮り方の角度とかもあるとは思うのですが、完全に膝が入っているようでかなり痛そうに見えます。格闘技の試合のスロー再生そのものでした。

本作を撮っていたのは20代後半でしょうか?

この頃のアクションのキレはやはり素晴らしかったですね。

アクションスターとしてはかなり完成されたデビュー作だと思うのですが、いかにも田舎育ちの純朴青年という感じが女性に「かわいい。」と言わせてしまうトニー・ジャーの魅力でもあると思います。

タイの映画らしく自動二輪タクシートゥクトゥクを巧みに利用したアクションも楽しかったです!トゥクトゥクの爆破・炎上は見どころのひとつでしょう。

タイの特色を存分に感じられる作品でありながら、クスッと笑ってしまう軽妙なやり取りや体を張ったスタントは、ジャッキー・チェン主演の香港映画へのオマージュを感じさせます。

マッハ!!!!!!!!」には2008年「マッハ!弐」2010年「マッハ!参」2013年「マッハ!無限大」とシリーズ物のようなタイトルの作品がありますが、話はあまり繋がっていないんです(笑)

いずれもトニー・ジャー主演でムエタイアクション映画なのですが、個人的にはおススメは特にしないです(笑)

 

トニー・ジャー主演映画でおススメなのは2005年の「トム・ヤム・クン」ですね!

(c) 2005 SAHAMONGKOLFILM INTERNATIONAL COMPANY LIMITED ALL RIGHTS RESERVED

めちゃくちゃいい笑顔です。

マッハ!!!!!!!!」では仏像を取り戻すために戦っていましたが、「トム・ヤム・クン」では象を取り戻すために戦っていて、両作とも物語を単純に分かりやすくして、ムエタイアクションを最大限にかっこよく魅せることに成功した傑作だと思います!

残念ながら「マッハ!!!!!!!」「トム・ヤム・クン」どちらも配信は無く、レンタルか購入での鑑賞になります。

 

<終わりに>

「エクスペンダブルズ4」の新加入メンバーでもう一人大好きなアジアのアクションスターがイコ・ウワイスです!

主演映画ザ・レイドはシラットアクションの大傑作なので、こちらも是非チェックして欲しい作品です。

エクスペンダブルズの一員として加わるのに申し分ない実力と人気を兼ね備えたこの2人が、新加入するのがもう嬉しくてたまりません!

この2人の共演と、ジェット・リーに続くエクスペンダブルズでのアジア勢の活躍が待ち遠しい限りです!

 

最後までご覧頂きありがとうございました!

 

 

 

 

『ホドロフスキーのDUNE』ホドロフスキー監督が元気をくれる面白ドキュメンタリー!

知る人ぞ知るカルト映画の巨匠アレハンドロ・ホドロフスキー監督。

作る作品はどれもこれもへんてこりんで風変りで過激。真剣に観てもイマイチどんな物語だったのか?理解に苦しむ内容です。

でもその一方でアート性高い唯一無二の作風とその独特な世界観に魅了されてしまう…と言うかつい笑ってしまう。

私もホドロフスキー信者の一人です!

組合に所属しないのでなんの制約も受けず、映画を商業目的以前に芸術作品として捉え、自分の心の声に従い自由な発想で作品を作ってきた。

そんな風に生きてきたからなのか?

情熱的に夢を語るその瞳は90歳を超えた今もなお、キラキラと力強く輝いています。

そんなホドロフスキー監督の魅力を存分に堪能できるのが、ドキュメンタリー映画ホドロフスキーのDUNE」です!

「ホドロフスキーのDUNE」公式サイトより
<作品情報>

ホドロフスキーのDUNE」

2013年 制作国 アメリカ 上映時間90分

監督:フランク・パヴィッチ

出演者アレハンドロ・ホドロフスキー/ミシェル・セドゥ/H・R・ギーガー/クリス・フォス/ブロンティス・ホドロフスキー

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そもそも「DUNE」て何?

アメリカの作家フランク・ハーバートによるSF小説のシリーズ。1965年第一作目「砂の惑星」が公開され、その後続編が著され人気シリーズとなり、映画スターウォーズなど数々のSF映画宮崎駿監督の「風の谷のナウシカにも影響を与えた作品。

<原作のあらすじ>

砂に覆われ巨大な虫が支配する荒涼の惑星アラキス、通称デューンを舞台に、宇宙を支配する力を持つメランジと呼ばれるスパイスを巡る争いと、救世主一族の革命と世界の混迷を軸にした壮大なドラマが展開される。Wikipediaより

 

ホドロフスキー監督とDUNE

1929年2月17日生まれ。チリ出身フランス国籍の映画監督。

当初舞台演出をしていたが、手探りで短編映画を撮りはじめ、1970年に公開した作品「エル・トポ」がNYの劇場でミッドナイトムービーとして公開され話題になる。

「エル・トポ」のヒットで100万ドルの出資を受けた監督は1973年「ホリーマウンテン」を制作。映画プロデューサーの二コラ・セドゥ(女優レア・セドゥの大叔父)がヨーローッパに配給したところ大ヒット作に。

「何を作ってもいいから一緒に映画を作らないか?」とのセドゥの誘いに、ホドロフスキー「DUNE」と答えたことからデューン映画化にむけて2年に渡る2人の戦いが始まった。

魂の戦士集め

映画「ホドロフスキーのDUNE」公式サイトより

映画製作に携わるスタッフやキャストのことを、ホドロフスキーは"魂の戦士"と呼んでいて、いくら才能があっても精神的な深みを感じない者ならば、一緒に仕事するのを断ってしまうのがホドロフスキーなのだ(笑)

そして、サルバドール・ダリミック・ジャガーオーソン・ウェルズといった大物が名を連ねるキャスティングが面白すぎて(笑)

しかも、今の様にネットもなく、連絡手段が限られていた時代。レストランで待ち伏せしたり、パーティーに潜入したりと、あの手この手でこの大物たちに「YES!」と言わせてしまっている?のだから、この面々が勢ぞろいする映画を観てみたかったと心から思ってしまいます。

ジョン・レノンでさえ作品に魅了されて、制作資金を援助していたという事実もあるくらいだから、ホドロフスキーなら実現可能なキャストだったと思うんですよね!

 

そして、今作では語られていない話ですが、音楽にはピンクフロイドの参加が決まっていたのですが、サントラにロックを使うこと自体初めてのアイデアだったそうです。

やっぱり凄いなホドロフスキー

 

とにかくホドロフスキーは話が上手いですし、嘘みたいな本当の話のオンパレードが面白いので是非聞いてみて欲しいです。

 

ホドロフスキーの「DUNE」はなぜ映画化できなかったのか?
  • 製作費が1500万ドルと膨大になってしまった。
  • 上映時間が12時間を超え20時間はかかる程の大作になってしまった。
  • 冒頭で書いたように、組合に所属せず自由に過激なカルト映画を作ってきたホドロフスキーハリウッドの大手映画会社に信用されなかった。

でも本当の理由は「恐れ」だと、ホドロフスキーと親交の深いニコラス・ウィンディング・レフン監督は語っていました。

ハリウッドのお偉いさん達は、凄まじい想像力で新しいものに果敢にチャレンジするホドロフスキーに恐れを抱いたのだ。

保守的で異質なものを排除しようとする体質。

これだから「ハリウッド映画はつまらない」と言われてしまうのではないでしょうか?

 

魂の戦士たちが撒いた「DUNE」の種

スター・ウォーズ、エイリアン、マトリックスブレード・ランナー、プロメテウス…あらゆるSFの名作の元ネタ?!世界を変えた未完の映画、『DUNE』。

映画「ホドロフスキーのDUNE」公式サイトより引用

 

 

紙の段階では完成していた「DUNE」ですが、いよいよセット作りに取り掛かろうという矢先、頓挫してしまいました。

しかし、ホドロフスキーと共に戦った魂の戦士たちは「DUNE」の制作によって培われ更に磨かれた才能を他の作品で遺憾なく発揮しています。

その最たるものが1979年公開のSFホラー作品「エイリアン」で、脚本はダン・オバノン、エイリアンのデザインはH・R・ギーガーによるもので、「DUNE」の戦士だった2人が作り上げた世界観なのです!

すなわち!様々なSF作品の中に「DUNE」がひょっこり潜んでいて映画史をも操る存在になっていたという事です!

 

※絵コンテは266万ユーロ(3億4300万円)で米国人により落札されたそうです。(2021年11月のニュース)

「DUNE」は未完の大作だからこそ素晴らしい?

「DUNE」の原作小説は100ページ読んでも意味不明で難解なものらしいです。(私は未読です。)映画化するには壮大すぎる物語であるため、どうしてもこぢんまりしてしまいそうです。それ程人の想像力は果てしなく具現化した矢先、別物になってしまうのかもしれません。

デヴィット・リンチ監督による1984年公開「デューン/砂の惑星は「ひどすぎる出来にうれしくなった!」とホドロフスキーを喜ばせる程「DUNE」の世界観を描き切れておらず、失敗作である事はリンチ本人も認めている。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による2021年公開「DUNE/デューン砂の惑星は原作の前半をほぼ網羅しているというから素晴らしいまとめ力だ!(まとめ力って何?笑)

主演のポール役がハリウッドのプリンス、ティモシー・シャラメということもあり、スタイリッシュに美しくまとまっている。「分かりやすくまとまっている…」これが私の感想なのでこればっかり言う(笑)きっと原作に忠実に作られているんだろうな。

2部作の後編であるパート2と、前日譚の「DUNE:The Sisterhood」2作品の公開が決定しています。

現時点ではドゥニ・ヴィルヌーヴ版が「DUNE」の実写化に最も成功していると言えると思いますが、ホドロフスキー監督の感想が聞いてみたいですね!

そもそもホドロフスキーが原作に忠実に作品をつくるなんて不可能だと思いますし、その気も無かったようですが(笑)明らかに目指しているベクトルが違う気がするので、冷静に受け止めて賛辞を贈るような気がします。

デヴィット・リンチ監督の「DUNE」

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE」

そして、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の「DUNE」

この3作を観比べてみるのもオススメです!

 

「DUNE」のその後裏話

プロデューサーのセドゥとホドロフスキーは本作の制作にあたり、およそ30年ぶりに再会する事になりました。喧嘩したわけではないものの、お互い気まずかったのかもしれません…でも再会してすぐ2人はまだ友人同士である事が分かったそうです。

ホドロフスキーは新たに制作する映画の資金援助を申し出たところ、セドゥは何も聞かず「いいよ。」と即答したそうです。

良い話というか、セドゥさん器が広くてめっちゃくちゃいい人ですよね?

そして完成したのが2013年「リアリティのダンス」です。

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これがまた、監督の少年期の自伝的要素を含む、素晴らしい作品でした!

現在の監督の年齢は94歳ですから、84歳の時の作品?ビックリするくらい全く衰えを感じなかったです!

若い時に作られた作品は過激すぎて観る人と選ぶ傾向はあったのですが、若干マイルドになっていて沢山の人に受け入れて貰いやすい作品になっています。

ちなみに、ホドロフスキー監督の青年期の自伝映画、2016年「エンドレス・ポエトリー」も最高です!

そして更に凄いのがホドロフスキーのDUNE」「リアリティのダンス」「エンドレス・ポエトリーFilmarksの総合評価がこの3作全て4.0の高評価でした!

公開してから随分時間が経っているのに、4.0評価の作品てほとんどないですからね。

ラクルとしか言いようがありません!!(嬉しすぎて泣きそうです。)

 

<まとめ>このドキュメンタリーを観ると…
  • 「DUNE」という作品について理解を深める事が出来る!
  • ホドロフスキー監督の面白くて元気になる名言の数々が聞ける!
  • SF映画の歴史が分かり、観たい作品も増える!
  • 失敗や挫折から、実は得るものがたくさんあるということを教えてくれる!
  • ホドロフスキー監督作品が無性に観たくなる!
<終わりに>

なぜこの記事を書こうかと思ったかというと、今現在ホドロフスキーのDUNE」が配信などで割と観やすくなっているんですよ。

でも、ホドロフスキー監督をよく知らない方は、本作を観るきっかけが無いんじゃないかと思いまして…

実はホドロフスキー監督作品入門にぴったりのドキュメンタリーなので、まだ配信がある内に観て欲しいのです!

 

昔の代表作「エル・トポ」「ホーリーマウンテン」などは配信も無いですし、DVDのレンタルは出来ますが、年々借りづらくなってきています。

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ちなみに、ホドロフスキー監督は300歳まで生きるそうです!

さすがに無理でしょ(笑)

 

最後までご覧頂きありがとうございました!

 

「君たちはどう生きるか」ネタバレ感想

一切情報が明かされる事なく7月14日公開日を迎えた、宮崎駿監督最新作「君たちはどう生きるか早速観てきました!

(C) 2023 Studio Ghibli

 

事前に公開されたのは、このポスター1枚だけです(笑)

この様な事は前例がないのでは?と思いましたが、それはインターネットが普及し始めてからの話であって、それ以前は前情報なしに映画を観に行くのは当たり前でしたよね!

若者なら、逆に新鮮!と思うでしょうし、私もなぜかワクワクしてしまいました。

情報だけ見て「あー、そういう感じの映画ね。」と観に行くの止めっちゃたりする事ってありますからね。多すぎる情報は人から好奇心を奪ってしまうのかもしれません。

 

観てみた印象では、登場人物は少ないですし、分かりづらい設定の話ではないので予備知識は必要ないタイプの作品だと思いました。

映画館で観るジブリ映画は臨場感があって格別です!

 

<声のキャスト>

牧眞一/山崎聡真

眞一の父親/木村拓哉

アオサギ/菅田将暉

ナツコ/木村佳乃

ヒミ/あいみょん

キリコ/柴咲コウ

 

<あらすじ>

時は第二次世界大戦の最中。入院中だった眞一の母親は病院で大火にのまれてしまう。残された父・しょういちと眞一は田舎へ疎開することになった。疎開先では、眞一の新しい母親・ナツコが待っていた。ナツコは妊娠している事を眞一に告げた。

到着した広い屋敷には、7人の婆やと爺やが居て、何かと眞一の世話を焼いてくれる。

屋敷の中の様子をうかがうように、屋敷の周りを旋回するアオサギ

ある日眞一は、屋敷近くの廃墟となった洋館にアオサギが潜り込むのを見かけ、後を追いかけるが、アオサギは消え下へ続く階段は塞がれていた。

ナツコの話によるとその洋館は眞一の大叔父の所有物であったが、本の読みすぎでおかしくなってしまったという大叔父は姿を消してしまったそうだ…婆やのキリコも呪われた館だという。

眞一は新しい学校へ父の運転するダットサンで登校するが、下校途中、生徒たちと取っ組み合いのケンカになってしまう。そして道端の石を自分の頭に叩きつけ、頭から大量の血が流れる。

転んだだけと言い張る眞一だが、その言葉を信用しない父親は学校へ抗議しに飛んでいく。

眞一を挑発するように、部屋の窓際に現れるアオサギ。なんとアオサギ「ハハギミハ イキテマッセ シンデナンカイマセンゼ」と眞一に語り掛けた。

最近つわりで調子が悪いナツコだったが、眞一はナツコが森へ入っていく姿を目撃する。その後ナツコが消えたと騒ぎになり、眞一がナツコを見かけた森へ入っていくと、洋館の裏口が見え、そこには明かりが灯っている。

中にナツコが居ると言うアオサギに導かれ、眞一は洋館の中へ入っていく。引き止めたかった婆やのキリコも仕方なく洋館の中へ…

 

<上の世界と下の世界>

あらすじに書いたところまでが、ザックリとですが上の世界での出来事で、ここから先の話はナツコ、眞一、婆やのキリコが下の世界での描写になっていきます。

なので上界では突然居なくなってしまったこの3人をみんなが探しているのです。

 

そして正直、ここからの話はあまり理解できませんでした(笑)

でも宮崎駿本人が作りたいものを作って、理解しているならそれでいいよね…と思ったら、試写会で「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました。」とコメントしていたそうです。

正直でいいですね(笑)

 

<私が嫌悪感を感じたシーン>

それはナツコが眞一の手を自分のお腹に当てて「妊娠してるの。弟か妹が出来るのよ。」というシーンです。しかもこの後に、ナツコは眞一の母親の妹である事が分かる会話があり、ギョッとしてしまいました。

思春期の男の子にはキツイ状況ですよね?この状況をどう克服していくのか?そこが物語の肝だったように思います。

眞一が血塗れで帰宅した事を、ナツコは自分のせいだと感じていました。単純に学校へ行きたくなかったとも取れますが、おそらくナツコへの当てつけで眞一が自作自演したケガだったのだと思います。

物語の終盤で「この傷は自分でつけた悪意です。」と言っていましたね。

 

異世界

この下界という場所が色々盛り沢山な所でした(笑)

とってもファンタジー宮崎駿ワールド全開なのですが、いくつかに分かれていてそれぞれに意味を持つ場所なのかもしれません。

出てきたワードだけ拾っても、お墓、地獄、天国、呪われた海、産屋、ヒミという少女の家…一体ここどこ?ってなる不思議空間。

異世界に通じる木のトンネルはとなりのトトロに出て来たトンネルとよく似ていました。このトンネルを抜けて眞人の冒険が始まる展開はワクワクしました!

 

<わらわら>

上界に行って人間に生まれ変わるのだという、わらわらと言う白い風船のような生命体。わらわらの為に魚を捌き、ご飯を食べさせるキリコの姿は上界でのキリコ婆の役割と同じです。

上界に上がっていくわらわら達がペリカンに食べられそうになった時、花火を打ち上げてペリカンを焼き払い、わらわらを助けたヒミ。

とにかく可愛いわらわら

眞人の妹か弟になるであろうわらわら

わらわらを必死に守ろうとする2人の姿を前に、眞人の意識は変わっていったのですね。

もののけ姫に出てくる木の精霊「こだま」によく似ていました。

<何故ヒミとキリコは若いの?>

過去にヒミとキリコは1年間行方不明になり、その間この下界で暮らしていたようです。異世界には時間軸が存在しない様なので、その時の年齢のまま現れたのでしょう。

キリコ婆、嫌がっていたけどよく再び入ったなと思いましたが、なんとなく嫌な感じはするけど、過去に下界にいた記憶自体は消えているようでしたね。

宮崎駿監督の作品は陽気で元気なお婆ちゃんがよく出てきますが、今作ではなんと7人も(笑)

眞人をとり囲む7人は「白雪姫と7人の小人」そのもので微笑ましかったです!

キリコ婆の若き日の姿は、勇敢なカッコイイ女性で、柴咲コウさんのクールな声がぴったりハマっていました。

 

そして…ヒミは眞人の母親でした。割と早い段階で眞人本人も母親だと気づいていたようでしたね。

ヒミ手作りのジャムトーストが今作のジブリ飯でした。母の味は手作りパンなのでしょうか?魔女の宅急便の主人公キキとヒミは少し雰囲気が似ているように思いましたし、同じ年頃の2人が協力して困難を乗り越えていく姿には、ついつい大好きな天空の城ラピュタのシータとパズーを重ね合わせてしまいました。

 

<鳥!鳥!鳥!>

アオサギペリカンセキセイインコ鳥三だった今作。それぞれの個性が生かされた面白いキャラクターでした。

相まみえると必要以上に鳥のフンだらけになってしまうのには、何か意味があるのでしょうか?(笑)

個人的にはセキセイインコの鼻息荒いのが可笑しかったです(笑)

いづれも、悪者として描かれているのですが、よくよく知るとそんな悪い奴でもなかったり、それには理由があるということが分ります。

アオサギも鳥の皮が剥がれると中からおじさんが現われてきました。菅田将暉のアテレコも、商売上手で声ガラガラの商人おじさんみたいで良かったです(笑)

このキャラのお蔭で眞人の心もほぐれて、最後は友達になってしまいました。

ペリカンの存在には資本主義、インコには軍国主義の風刺が入っているように見えました。社会や時代背景に翻弄されてしまった切なさや哀愁を感じます。

 

因みに、ナツコが居た出産するための部屋、産屋(うぶや)もその昔、屋根に鵜(う)の羽を葺(ふ)く風習があったそうです。

 

君たちはどう生きるか?>

大叔父のブックコレクションの中から出て来た?であろうこの一冊。

今作のタイトルにもなっている、1937年吉野源三郎の小説。

眞人が表紙をめくると「大きくなった眞人君へ」と母の筆跡を見つけます。

ラストシーンでは、生まれた弟や新しい家族と日常生活を送る中、カバンにこの本を入れる眞一の姿が描かれていました。

この本の内容が今作に及ぼした影響よりも、母親の愛情が感じられる、眞一にとっての大切な一冊という事の方が重要な気がします。

 

君たちはどう生きるか」という監督からの問いかけなのだとは思うのですが、今作を見た限りでは、それほど強いメッセージ性は感じられませんでした。

 

<大叔父は誰?>

塔の中では花々が咲き誇る天国に暮らし、積み石を絶妙なバランスで積み上げ、異世界の核となる石を守り管理している。

間違いなくこの世界のトップであり、インコには殿様と呼ばれていました。

自分は老い先短いので、眞一に後を継いで欲しいと世代交代を望む言葉には、どうしても宮崎駿監督と大叔父を重ね合わせてしまうのではないでしょうか?

ただ、無理に個人を当てはめる必要もないですよね?

 

大叔父が「13個の石を3分に1個積み重ねて欲しい」と眞人に提案するシーンがありましたが、13という数字が一体なにを指しているのかが気になりました。

宮崎駿監督作品の数が合計13作品だから!という説が最も有力な気はしますが…

そう言えば、眞人の年齢が明かされていませんでしたよね?

けがれの無い13の石と言っていることから、眞人は13歳なのでは…(笑)

パズーとシータも13歳ですし!(見事なこじつけです。)

 

<まとめ>

「監督が商業的な事を無視して、やりたい事を詰め込んだ集大成作品」だと感じました。セルフオマージュ満載でジブリ集大成映画と言えると思います。それと同時に宮崎駿監督の人生のオマージュ写真を見たような感覚がありました。

物語自体はシンプルなのですが、表現が抽象的なので理解しづらい部分もあり、少々不親切だと感じられますが、それぞれ自由に解釈しても十分に楽しめる作品でした。

それはやっぱり、アニメーションによる映像表現が素晴らしいから。これに尽きます!

特に日本の夏の情景や蓮池に広がる水の波紋、植物の繊細な美しさにはうっとりしてしまいました。

子供さんが観て面白いと感じる作品かは、微妙ですが…

鼻息の荒いセキセイインコはお子様たちにも観て欲しいです!絶対ウケると思います(笑)

 

ジブリ作品は配信していないので、まとめて宅配レンタルがお得ですね!

DMMでも無料。

ゲオでも無料。

 

最後までご覧頂きありがとうございました!

 

 

映画「Pearl パール」ネタバレ感想「オズの魔法使」7つのオマージュを解析!

待望のA24ホラー映画3部作 2作目「Pearl パール」

「Pearl」公式サイトより

1作目「X エックス」にて衝撃的なキャラクターで登場した老女殺人鬼パールの若かりし頃を描いたいわゆる前日譚。

前日譚映画、エピソード0…私はそれを作品の箸休め的なものだと考えている。これまで、数々の前日譚映画を観てきたがどれも物語の補足に過ぎないので、余り記憶に残っていなかったりもする。

なので本作も過度に期待はしていませんでした。(凄いネガティブなスタート…笑)

 

観てみた感想としては、それなりに楽しめましたし「X エックス」で疑問に思っていた部分の答えとしても「なるほど!」と納得できるものでした。

前評判通りミア・ゴスの怪演も素晴らしかったです!

ただ「X」のように次々と天に召されるような王道スラッシャーではないので爽快感は無くエンタメ度も低いので、夏に観たいタイプのホラー映画ではなかったかな?という印象です。

そして思っていた以上に1939年「オズの魔法使」オマージュでしたし、その主演女優ジュディ・ガーランドの悲劇的な人生をパールに重ね合わせてしまうような物語でした。

<作品情報>

「Pearl パール」

2023年7月7日公開/アメリカ/102分/R15+

監督:タイ・ウェスト

脚本:タイ・ウェスト/ミア・ゴス

キャラクター/キャスト

パール/ミア・ゴス

映写技師/デヴィッド・コレンスウェット

パールの母ルース/タンディ・ライト

パールの父/サンダー・ランド

パールの義理の妹・ミッツィー/エマ・ジェンキンス=プーロ

 

本作では脚本まで手掛けている。このホラー3部作、どこを切り取ってもミア・ゴスだらけだ…(笑)

 

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<あらすじ>

1918年、テキサス。

パールはドイツ人の厳格な母親と病気で車イスの父親と、小さな農場で家畜の世話をしながら細々と生活していた。若くして結婚したパールだが夫のハワードは戦争へ出征していた。そんな生活に次第に鬱屈していく中、スクリーンで歌い踊る華やかなスターへの憧れを強めていく。

しかし、パールの母親は父親の面倒を看ることを強いて、農場を出る事を決して許さなかった。夢を見る事さえ出来ない抑圧が、次第に狂気となり暴発する。

 

 

オズの魔法使」オマージュを分析!

1.冒頭の描き方

扉を開け物語が始まる「パール」の冒頭は「オズの魔法使い」でセピア色の現実世界から、主人公の少女ドロシーがドアを開くとカラー映像に切り替わり、夢の世界に入っていくという場面を連想させます。

映画「オズの魔法使」Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.
2.かかし

パールが農場で見つけたカカシとダンスを踊るシーン。ダンスに留まらず異性に見立てたカカシにまたがってしまう奇行には思わず笑ってしまいました(笑)

「Pearl」公式サイトより

 

3.炎

暖炉の火がスカートに燃え移ってしまった母親に、パールが熱々スープをかけて消火しようとするシーン。

オズの魔法使」で西の魔女がカカシに点火した火を消そうとして、ドロシーが水をかけるシーンに似ています。カカシにかけた水が西の魔女にもかかってしまい、西の魔女が溶けてしまうという結末でした。

 

4.ドロシー役女優ジュディ・ガーランドの人生

表もあれば裏もあるのがスターの宿命です。当時、痩せ薬とされていた覚醒剤を与えられ馬車馬のように働かされ、そのせいで夜眠れず睡眠薬を飲むという生活に心身のバランスを崩してしまいます。

ジュディの父親が実はゲイである事を知った母親は、ジュディをスターにする事に生んだ意味を見出そうとしていたのではないか?と言われています。

ジュディは父親のことは好きだったみたいで、そこもパールと同じですね。

 

5.毒親の連鎖

自分の栄養を吸収して次第に大きくなる胎児を愛おしく思うのか。恐怖だと思うのか。

パールもジュディ・ガーランドも中絶を望みました。子を持つ恐怖は毒親に育てられた女性にしか分からない苦悩だと思います。

 

6.セリフ

「心の美しさは愛することではなく愛されることで分かる」

心を欲しがったブリキにオズの魔法使いがかけた言葉です。

体の不自由な父親に「お父さんは愛されているわ。」とパールが言ったとき、このセリフが浮かびました。

 

「Pearl」公式サイトより

母に愛される事を熱望し、叶わなかったパールとジュディ。どうしても、この2人が重なって見えてしまうのでした。

 

7.「欲しがることはやめた。持ってるものを大切にするの。」

映写技師との恋に破れ、オーディションにも落ちてしまったパールのセリフ。

ウジ虫が湧く食卓を囲むミイラ化した両親、そこへ無事戦場から帰ってきた夫ハワードと引きつった笑顔のパール…確かに持っているもの(家族)を大切する様子がラストで描かれていましたね。

凄いブラックユーモアあふれる展開でした(笑)

 

オズの魔法使」では家出して夢の世界に迷い込んだドロシーが、大切なものが実は身近にあることに気付き、一刻も早く家に帰りたいと願い、農場の仲間達と再会するシーン。

その時のセリフが…「私の部屋にみんなが居る、もう二度と離れたりしない!」

 

 

パールもテキサスを離れることなく、テキサスに骨をうずめました(笑)

 

※筆者独自の解釈で、公式な発表を一切参考にしておりません事をご了承ください。

 

オズの魔法使」は歴史にその名を残す名作です!ぜひ一度観てみて下さい!

「Pearlパール」鑑賞後の「オズ」はまた格別だと思いますよ(笑)

 

パールがブロンドを嫌う理由

「X エックス」鑑賞後、次回作パールで語られるのでは?と個人的に一番楽しみにしていた所です(笑)

義理の妹と参加したダンスオーディションで審査員に「若いブロンドのXファクターを探している」と言われパールは夢破れてしまいます。

UKの人気オーディション番組「Xファクター」を連想させますよね(笑)

そして、求められていた若いブロンドが皮肉なことに義妹のミッツィーでした。

「pearl」公式サイトより

いい娘だったし、無垢な笑顔がめっちゃかわいい。

合格した事をなかなか言い出せないミッツィーが不憫でなりませんでした(笑)

 

<まとめ>

本作はオズの魔法使」サイコバージョンとも言えるのではないかと思えてきました。

ポップで可愛らしいテクニカラーの作品と言うだけでなく、シンプルなストーリーの前日譚映画ながら伝えるべきテーマがしっかりある作品でした!

ミア・ゴスちゃんもかわいいだけじゃなく、パールが秘めていた狂気を全身全霊で表現していて、凄い役者さんだと思いました。

いつもそうなのですが、とりわけ本作は色々書いているうちに「あっ、これ面白いかも⁈」と評価が上がってしまいましたね(笑)

 

「X」の感想もどうぞご覧ください!

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最後までご覧頂きありがとうございました!

 

 

 

 

A24ホラー映画「X エックス」を暴く!(ネタバレあり)

この世で一番エキセントリックなアルファベットそれは…X エックス 

とにかく"X"とつけて置けば、なんかキマってしまうアルファベットであり、日本にもアメリカにもバンドがありますし、腕を使っても、脚を使ってもXポーズはキマりますね(笑)

 

2022年、いまをときめく映画製作会社A24(Xじゃないじゃん笑)が、「ミッドサマー」「へレディタリー継承」などアリ・アスター監督のホラーヒット作に続けと、満を持して公開した「X エックス」が大ヒット作品となりました。

ちょっと待って?アルファベットの24番目が…Xですね…(笑)

 

そして2023年、いよいよ蒸し暑い夏!ホラーの夏がやってきた!(わくわく)今年は3部作映画「X」の前日譚にあたる物語「パール」が公開です。

楽しみにされている方もそうでない方も、70年代のアメリカの田舎が怖~いテキサスホラー「X」の魅力に迫ってみませんか?

[c]2022 Over The Hill Pictures LLC All Rights Reserved.

<作品詳細>

2022年7月8日日本公開 アメリカ 105分

監督 脚本:タイ・ウエス

キャスト

マクシーン,パール/ミア・ゴス

ロレイン/ジェナ・オルテガ

ボビー・リン/ブリタニー・スノウ

ハワード/ステファン・ウレ

ウェイン/マーティン・ヘンダーソン

ジャクソン/キッド・カディ

 

<あらすじ>

1979年。有名女優を目指すマキシーンとそのマネージャーのウェイン、ブロンド女優のボビーと男優のジャクソン、監督のRJとその彼女ロレインの6人は「農場の娘たち」という映画を撮影する目的でテキサスにやって来た。

宿泊する納屋を管理するみすぼらしい老人ハワードはウェインにいきなり銃を突きつけ、歓迎していないムードを漂わせる。

向かいにある母屋の窓ガラス越しからじっとりとこちらを見つめる老女パール。マキシーンはパールと目が合ってしまい戸惑うが、この老夫婦は若者たちに次々襲い掛かる殺人鬼だった…

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「農場の娘たち」というエッチな映画の撮影とあって、マキシーン演じるミア・ゴスは裸にサロペット、足元はウエスタンブーツというですね、これをオシャレと言っていいのか(笑)でも可愛いんですよね。

老婆であるパールの役も、特殊メイクでミヤ・ゴスが演じています。

なので当たり前ですがそっくりそのまま年老いた感じです。ホラー映画では死の恐怖が描かれますが、そこに老いの恐怖もプラスされてくるのですから、もう絶望的です(笑)

ストーリー自体はまさに王道で、悪魔のいけにえ」オマージュとくれば、ホラー映画好きな方なら結末もある程度は読めてしまうスラッシャー映画です。

悪魔のいけにえ」の終盤。悲鳴をあげるファイナルガールにとどめを刺すため、殺人鬼家族は「昔は5分で60頭の牛を殺した。必ず一撃で牛を仕留めた。」かつて殺害名人だったおじいちゃんにハンマーを握らせようとするのですが、握力が弱っててポロポロ落としちゃうシーンがあります。

笑いながら恐怖に震えるという感覚は後にも先にもこの時だけでしたが、それに近いものを「X」には感じました。

老人ゆえのラストの自滅展開は面白かったです(笑)

 

トビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」とヒッチコックの「サイコ」には数えきれない程のオマージュやパロディ作品があるのでやっぱり観ておきたい!

どちらも無料鑑賞できるのは、古典映画の宝庫U‐NEXTだけです!

もちろん「X エックス」も鑑賞できます!

 

 

映像やセリフに「サイコ」「シャイニング」「ブギーナイツなどのさらっとしたオマージュシーンも見受けられました。

そして、冒頭のカメラワーク。スタンダードサイズ(正方形)かと思いきやカメラが寄っていくと画面が広がりを見せ、両端が影になっていただけで実はビスタサイズの作品だと分かる演出。

それがまた映画の中の映画シーンの間だけ、画角がスタンダードサイズに変わりました。

このように変化する画角や荒くザラついた映像、前半のダラダラしたポルノ撮影風景から後半畳みかけるように事件が起こる感じは、タランティーノ監督の「デス・プルーフ」のようなグラインドハウスムービーエクスプロイテーション映画)のテイストが盛り込まれているように感じました。

簡単に言ってしまうと50年代以降アメリカで量産された、エログロB級映画という感じですが、作品の中でも「農場の娘たち」というエクスプロイテーション映画を撮る過程を見せているという訳です。

そうなってくるとExploitation filmsだから"Ex"…X!! これですね(笑)

[c]2022 Over The Hill Pictures LLC All Rights Reserved.

やはり本作の一番の見どころはよぼよぼの老夫婦が殺人鬼という所です。そして次回作「パール」はタイトル通り老女殺人鬼パールの若き日の物語になるようなので、ここはやはりパールに焦点を当ててみたいと思います!

※ここからはネタバレを含みますので未鑑賞の方はご注意ください!

 

パールおばあちゃんの怖い名言・名場面

 

「シーッ!ふたりの秘密よ…」

出会ったばかりの老婆に若かったころダンサーだった話や夫の話を一方的に聞かされたあげく、秘密の共有を迫られ怯えていたマキシーン

ラストでマキシーンとパールはタイマン勝負となりますが、ショットガンを撃った衝撃でパールは吹き飛ばされ腰をやられて動けなくなってしまいます。

おばあちゃん自爆です(笑)

助けを求めるパールに「だまれクソババア」とお返しのシーッ!

マキシーンはやられたらしっかりやり返すタイプでしたね(笑)

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「私も凄いのよ…」

撮影現場を覗いて欲情してしまったのか?

老いてなお性欲があること自体は素晴らしいことだと思うのですが、

何故か女優達に対抗意識を燃やし23歳の青年RJに抱きついてしまうパール。

もちろん拒否されたので、RJを血祭にあげた後、赤いヘッドライトに照らされて踊るパール一番強烈なシーンでした(笑)

[c]2022 Over The Hill Pictures LLC All Rights Reserved.

 

 

「ブロンドは嫌いなのよ!」

ブロンドに何かイヤな思い出でもあるのでしょうか?

ビッチ!と罵られた挙句、池に突き落とされてしまったブロンド女優ボビーは見事ワニの餌食に…アニマルパニックホラーのワンシーンのようでした!

そして、ナイトクラブの壁画にこんな伏線が張られていたとは…

[c]2022 Over The Hill Pictures LLC All Rights Reserved.

 

ていうか…

コパトーンガールじゃないか(笑)

 

「私はあなたのものだと言って…今も"欲しい"と…」

やはりパールは凄かった(笑)

前半ではエクスプロイテーション映画の撮影で"見世物としての性"が描かれていましたが、それと対極にあるのがハワードとパール夫妻による命懸けの性です。

全く別物だという事を、私たちは知る必要があるといったところでしょうか?

それにしても、老夫婦の激しい情事をアンダー・ザ・ベッドで目撃してしまったマキシーンのいたたまれなさよ(笑)

こっそり抜け出す様子を天井からのカメラアングルで映すシーン。モザイク処理が施された珍妙な画が好きでした。

[c]2022 Over The Hill Pictures LLC All Rights Reserved.

まとめ

3部作というところで、やはり本作だけでは少し物足りなさが残りますし、謎も多いです。老夫婦が若さへの嫉妬や欲求不満で殺人を犯すという設定だけでは、少し動機が薄い気がしてしまいました。

第一次世界大戦禍で自分らしい人生が歩めなかったという愚痴をこぼすシーンもありましたし、やはりワンモア何かあるのだろうと…やっぱり、知りたくなりますが…「パール」を観ても納得できなかったらめちゃくちゃ書きますから(笑)

 

ラストでは3作目が再びマキシーンの物語になるであろう伏線が用意されていました。

エリザベス・デビッキケビン・ベーコンなど魅力的なキャストまで発表されましたが、またあと1年オアズケなんでしょうか?(涙)

もうホラーの冬でも秋でも…なんでもいいんですよ?(笑)

 

 

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最後までご覧頂きありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

映画「ライダーズ・オブ・ジャスティス」北欧の至宝マッツ・ミケルセンが贈るクリスマスムービー!

これがマッツ・ミケルセンなのか?と誰もが戸惑う髭坊主。同時期に撮影されたであろう作品「アナザー・ラウンド」でお見掛けしたサラサラヘアーのマッツ様とは全然別人に見えます!

そりゃそうでしょ~、今作「ライダーズ・オブ・ジャスティス」は屈強な軍人が失った妻の復讐を果たすバイオレンス映画だよ!

…と思っているそこのあなた。tittitti…違わないけど違います(笑)

結論から申しますと「北欧の至宝、マッツ・ミケルセンが贈るこころ温まるクリスマスムービー!」です。

ちょっと時期が随分先なんですけど…(笑)

冒頭、老人と少女が自転車店で赤い自転車を勧められますが、少女は青い自転車がいいとリクエストします。

少女は青い自転車が届くクリスマスを心待ちにしていました…

もし、この選択で誰かの運命が大きく変わってしまうとしたら?

 

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<作品情報>

公開日 2020年11月19日(デンマーク) 2022年1月21日(日本)

制作国 デンマークスウェーデンフィンランド合作

上映時間 116分

映倫区分 PG12

監督 脚本:アナス・トマス・イェンセン

<キャスト>

マークス/マッツ・ミケルセン

オットー/ニコライ・リー・カース

マチルデ/アンドレア・ハイク・ガデベルグ

レナート/ラーシュ・ブリグマン

エメンタール/ニコラス・ブロ

 

 

<あらすじ>

マチルデは自転車を盗まれ登校することが出来なかったため、その日は学校へ行かず母親と街へ遊びに行きますが、帰りの列車で事故に合ってしまいます。

アフガニスタンでの任務に就いていた軍人のマークスは、妻が列車事故で亡くなった知らせをうけ帰国する。長い事家を空けていたマークスは落ち込む娘とどう接してよいか分からず、娘がセラピーを受けることさえも頑なに反対していた。

ある日亡くなった妻と同じ列車に乗っていたという統計学者のオットーとその友人レナートが訪ねてきて、様々な資料を広げながら事故ではなく事件だった可能性を示唆する。

オットーは列車内で事故直前に不審な人物を目撃したことや、犯罪組織ライダーズ・オブ・ジャスティス(ROJ)が起こした殺人事件の重要証人が列車に乗り合わせていて亡くなった事などから、ROJがこの事件に絡んでいるとマークスに話した。

怒りが頂点に達した殺人マシンマークスは妻の復讐に動き出す!

「ライダーズ・オブ・ジャスティス」公式サイトより

 

列車事故に遭ったことで出会った、理数系オタクトリオのキャラが濃い!

オットー:マークスの妻に席を譲ったせいで亡くなってしまったと後悔している。統計学者であり何でも確率など数字で導き出す癖がある。交通事故で娘を亡くしていて、オットーも左腕が不自由。

レスナー:どんな個人情報も引き出せるハッキングの名人。幼少期に父親から虐待を受けていたトラウマから4000時間ものセラピーを受けてきた。

エメンタール:顔認証の達人で、列車で見かけた不審人物の割り出しに協力する。ピザ大好きで太っちょな体形のせいか自信が持てず引きこもりに。

 

※ここからはネタバレありますのでご注意を!

 

この3人がネットを駆使して導き出した犯罪集団をマークスは何の躊躇もなくバンバン殺していきますが、ROJはこの一件とは無関係でした。

「えっ、嘘でしょ?」ってなりますよね(笑)

そもそもオットーが車内で見かけた不審人物を監視カメラの画像でエメンタールが顔認証したところ99%の確率でエジプト人だと結果が出ていたのにもかかわらず、95%一致したデンマーク人を「こいつだー!」って犯人に見立ててから、「電気技師だって、しかも電車の!」とか「兄がROJのリーダーだって!」とか偶然の一致が重なってこいつで間違いないとなってしまった訳です…恐ろしいですねぇ。

被害者はむしろ犯罪組織の面々ですよ(笑)

結局、列車事故だったことが判明したものの、もう取り返しのつかない両者は全面戦争となり、マークスに銃の扱い方までレクチャーされたオタクトリオも機関銃をぶっ放してROJは壊滅!(悪い集団には違いないから結果オーライかも。)

ROJのリーダーが死に際に「何が狙いだ!」って言ってましたね(笑)

 

「ライダーズ・オブ・ジャスティス」公式サイトより

<良い偶然と悪い偶然>

マチルデは事故に合うまでに起きた出来事を紙に書いて壁に貼り付けていました。何が原因で事故に合ってしまったのか探りたかったのでしょう。

その筆頭が「自転車が盗まれた」でした。これさえなければと思ってしまいますよね。

「人生には流れがあって、他人の人生とも絡みあっている。原因を探っても君が幸せになる事はない。」とオットーに言われてしまいます。残酷ですが本当にその通りです。大人達(特にマークス)も敵を作って復讐することで救われるという思いがあったから、誤った敵を作りあげてしまったのだと思います。

でも良い偶然もやはりあって、それは人の痛みが分かる最強セラピストの3人に出会えたことです。セラピストというよりは痛みを抱えた者同士が集まって痛みを分散しているような。無駄な戦いをしたことで結束も固まったので、決して無駄では無かったですね(笑)

という事でこれは家族を失ったマークス(マッツ)とマチルデの大掛かりなセラピー映画と言えるのかもしれません。

サンタやトナカイのセーターを着たクリスマスパーティーのラストシーンはほっこりします。赤いセーターを着たマッツもかわいい。

雪の降る聖夜、願い叶って青い自転車に乗る少女の姿は、アンデルセンのおとぎ話に出てくるワンシーンのようにどこか幻想的です…でも、それ、盗まれた自転車なんですけど(笑)

アクションあり笑いありでエンタメ度も高く、家族愛もしっかり描いていてクリスマス映画としても傑作かも⁈

 

 

そう言えばマッツ・ミケルセンのデビュー作も確か坊主でしたよね?(笑)

「麻薬密売人プッシャー」1997年の作品です。若いチンピラ風のマッツが回し蹴りをして足を痛めるシーンがお気に入りです…それも含めてかっこいい!

「ドライヴ」「ネオン・デーモン」のニコラス・ウィンディング・レフン監督デビュー作でもあります。

(C)1996 Balboa Enterprise ApS. All rights reserved.


U‐NEXTでは「ライダーズ・オブ・ジャスティス」貴重なデビュー作「プッシャー」の他「ハンニバル」シリーズや「アナザー・ラウンド」などマッツ・ミケルセン主演の映画が豊富にあり全て見放題です!(2023年8月)

 

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もうこれはレンタルしかないです!

 

最後までご覧頂きありがとうございました!